「ギャンブル依存症」について
掲載日:2019年11月14日
投稿者:神奈川県立精神医療センター
「ギャンブルがやめられないのは本人の意志が弱いからではありません」
金銭問題や借金を繰り返すギャンブル依存症。なぜ負けるのにギャンブルをやめられないのでしょうか?神奈川県立精神医療センターの依存症外来や、同センターで行われているギャンブル依存症を対象としたグループ療法で語られた依存症本人の気持ちをきいて、理解してみましょう。
1.ギャンブルに求めるもの(メリット)
無心になれる、パチンコ台のアニメ(ストーリー)にはまる、勝ったときお金が増える、ドキドキ・わくわく感がある、時間を忘れられる、現実逃避、好きな馬・選手を追いかけるのが楽しみ、ストレス解消、週末レースが楽しみ、居場所
2.ギャンブルで失ったもの(デメリット)
お金が無くなる、借金が増える、計画通りにお金が使えない、性格がキレやすくなりすぐイライラする、食費が無くなる、服がたばこ臭くなる、家族の信頼を失う、大切な友人を失う、犯罪に繋がる、大切な時間を失った、ギャンブルほど楽しいことはないのでデメリットを考えたことがない、ギャンブルを好きで好きで仕方ないのでデメリットはない
3.ギャンブルの引き金
パチンコ店のトイレを借りる、パチンコ店で携帯を充電して台を見る、競馬新聞で予想する、パチンコ・パチスロ店の新装開店のチラシをみる、現金を持つ、給料日、臨時収入が入る、週末、大きな競馬レースを見る、ひま、仕事のストレス、孤独、疲れる、人間関係のストレス
4.ギャンブルをやめようと思ったきっかけ
家族関係が悪くなったため、借金でお金が無くなったから、家族にお金をせびる生活をやめたいと思った、退職してお金が減ったため、自分力だけじゃやめられないと思ったから施設入所してギャンブルできない環境になったため、大切な時間が無くなるため
5.さいごに
ギャンブル依存症の症状は借金です。ギャンブルに負け金銭問題が起こったときは、「もう2度としない」とギャンブルをやめる決心をします。しかし人間関係のストレスや現金を持つというきっかけで、「1回だけならいいかな」と気持ちが変わってしまうことがあります。一度ギャンブルが始めまると家賃や水道光熱費を滞納したり、家族のお金を盗んだり、その他万引きや横領、失職、離婚など次々と問題が起こります。最初は楽しかったギャンブルも、周囲の信頼を失い孤独になります。そのさびしさを忘れるためにまたギャンブルをするという悪循環を繰り返す事になります。
ギャンブルの問題に取り組む際には借金やお金の解決を急ぐよりも、依存症という病気を理解し、治療や回復を優先することの方が大切なのです。