依存症病棟における作業療法のご紹介
掲載日:2026年03月27日
投稿者:神奈川県立精神医療センター
神奈川県立精神医療センター 作業療法科
当院の依存症病棟ではさまざまな治療プログラムが実施されていますが、今回はその中の1つである作業療法(以下OT)をご紹介します。
OTは、さまざまな活動を通して退院後に自分らしい豊かな生活を送れるようにするためのリハビリテーションの1つです。入院生活では体を動かしたり頭を使う機会が減り、生活リズムが整いづらくなりがちです。また、入院中は大丈夫だけど退院したらまたアルコールや薬物やギャンブルなどが止められなくなってしまうという不安を感じている方も多いです。そのため病棟のOTでは、《体力を維持する・生活リズムを整える・活動を通して達成感や満足感を得る・退院後につながる趣味を見つける・退院後の不安を解消する》などを目的に、以下の2つのプログラムを実施しています。
⓵ボディメンテ
ストレッチやサーキットトレーニングを行い、体力の維持向上を目指します。握力測定やバランス能力のテストを行い、ご自身の今の体力を把握していただくこともできます。また、集中して体を動かすことでストレス発散になったり、抱えている辛さや不安なことなどを考えずにいられたり、依存物質や行動に頼らずに過ごせることが期待できます。運動が苦手な方でも、自分のできる範囲で取り組んでいただけます。
⓶ホビー
寄木細工・ポンポン手芸・張り子細工などの作りもの、ナンプレ・クロスワードなどの脳トレ、塗り絵・絵画・読書など、ご自身の興味のある活動に取り組んでいただきます。作業に集中することで、ボディメンテと同様の効果が期待できます。
ボディメンテ参加者の中には、運動の楽しさを知り、退院後に酒を飲みたくなったらジムに通いたいと話していた方もいらっしゃいました。
ホビー参加者の中には、退院したら自分でも寄木細工をやりたいから、材料の入手方法を教えてほしいとおっしゃる方もいました。
OTに参加することでさまざまな効果が期待できる一方、「自分の限界に挑戦します」と言って身体的負荷が強くなりすぎてしまったり、疲れに気づかないまま作業に没頭しすぎてしまったりする方もいらっしゃいます。そのような患者さんには、活動と休息のバランスが大切であることもお伝えしています。
依存症からの回復を目指すみなさまが、好きなことをする楽しさに気づいたり、新たな興味を発見することで、健康的で自分らしい生活を送れるようになることを願っております。

