ギャンブル等依存症やゲーム障害などの行動依存について2/4
掲載日:2020年07月09日
投稿者:横浜市こころの健康相談センター
今回はギャンブル等依存症の特徴についてお話しします。
ギャンブル等依存症の一般的特徴
ギャンブル(賭博)とは、あるもの(たいていは金銭)を賭けて、より価値のあるものを手にいれる行為を指します。勝ち負けがほとんど偶然に支配されている勝負事です。世の中には、ギャンブルが好きな人もいれば、全くしない人もいます。全くしない人にとっては、ギャンブルのどこが魅力なのだろう、と不思議に思うかもしれません。しかし、ギャンブルをしない人でも、なにかの争いごと(例えば、スポーツでもケンカでも)で、負けるのが好きな人はあまりいないでしょうし、生活には経済的な問題も関わりますから、お金はないよりはあった方がよいでしょう。ギャンブルは、勝てば大金を手に入れられることから、人間の本能的な欲求を刺激します。そして、ギャンブルの一攫千金の魅力に一旦取り憑かれると、ギャンブルをやめて地道な生活に戻るのはなかなか難しいようです。日本でギャンブルは刑法で禁止されていますが、競馬、競輪、競艇、オートレースは、その公益性から公営競技として開催が許可されています。パチンコ・スロットは法律的には遊技と位置づけられていますが、射幸性や換金性といったギャンブルの要素を含みます。また、仲間内での賭け麻雀や賭けゴルフ、裏カジノといった非合法のギャンブル、過剰なレバレッジをかけたFX(外国為替証拠金取引)などに陥るケースもあります。
ギャンブル等依存症の特徴は、ギャンブル等が自分や他の人にとって有害で、人生に大きな損害が生じるにも関わらず、ギャンブル等を続けたいという誘惑や衝動が抑えられない点です。勝ちを追い求めて、最後には掛け金をたいてい失ってしまいますが、そのような行為を人に隠し(時には嘘までつきます)、手持ち資金を使い果たしてしまいます。それでも負けを取り戻すために借金をしてまでギャンブル等にのめり込み、次第に借金額が膨らみます。挙げ句の果てに、借金すらもできなくなり、やむなく窃盗、横領や詐欺行為といった違法行為に手を染めてしまうこともあります。最終的には生活が破綻し、家族離散、懲戒解雇、逮捕や自殺など深刻な事態に至ることもあります。
次回はゲーム障害の特徴や行動依存の専門治療についてお話しします。
(独立行政法人国立病院機構 久里浜医療センター 精神科医長/精神保健指定医 松﨑 尊信)