依存症コラム 依存症について知ろう「回復の広場」

ギャンブル

ギャンブル等依存症

掲載日:2019年11月14日
投稿者:朝倉 崇文

はじめに

 最近、テレビや新聞でギャンブル等依存症という言葉を目にしますが、精神医学における正しい名称はギャンブル障害です。ギャンブル障害とはどのようなものなのでしょうか。

ギャンブル障害とは?

 ギャンブル障害とは、ギャンブルを続けているうちに「ほどほどにする」ことができなくなり、生活が苦しくなったり、家族と不仲になったり、仕事や学業に影響が出るなど、客観的に見て困ることが起きているのに、ギャンブルをやめ続けられない精神障害です。ギャンブル障害は外見の変化はありませんし、ギャンブルをするお金を稼ぐために一生懸命働く人も多く、周囲の人に気づかれにくいのがこの障害の特徴です。

ギャンブル障害になったら

 まず、ギャンブルでできた借金を隠していると、返すためにギャンブルをしたくなるので、周りの人に借金があることを正直に伝える必要があります。

 ギャンブルをやめ続けるには、GAに行くことが有効です。GAではギャンブル障害の人が集まり、ギャンブルに左右されない生き方をするための活動が行われています。GAに馴染めない方や、ギャンブル障害以外の精神障害が、ギャンブルに影響しているのではないかと感じられる方は、精神科への受診をお勧めします。また、ギャンブルができない環境に身を置きたい人は、入寮型リハビリ施設に入所するという方法もあります。どこに行けば良いかわからない方は、精神保健福祉センターで相談すると良いでしょう。

嘘という症状

ギャンブルを過度にやるために、嘘をついて、周りの人につらい思いをさせるのは悪いことです。しかし、ギャンブルを過度にやってしまうのは、ギャンブル障害の症状なのです。ギャンブル障害の症状として「ギャンブルをやりたい」という強い衝動が起きます。この強い衝動が起きたときには、人は嘘をついてでもギャンブルをしてしまうものなのです。

おわりに

 ギャンブル障害になると、意思の力だけではギャンブルをやめ続けることができなくなるので、先に示した機関に頼るなど、ギャンブルの問題から逃れるための作戦を立てることが大切です。会ったことがない人を頼るのは勇気がいることですが、勇気を持って行動した人が回復するのです。

 ギャンブル障害の人を責めることは何の解決にもなりませんし、責められたストレスでギャンブルをしたくなることさえあります。また、借金などギャンブルによって起きる問題は隠しているうちにどんどん悪化しますが、人は責められると問題を隠してしまうものです。ですので、あなたの大切な人がギャンブル障害であれば、その人を責めるよりも、あなた自身が精神保健福祉センターで相談したり、ギャンブル障害の人の家族が集まるギャマノンに行くなどして、対応法を学ぶ方が長い目で見ると解決に近づくでしょう。

朝倉 崇文 氏

北里大学病院

北里大学病院 医師

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