依存症コラム 依存症について知ろう「回復の広場」

アルコール

「ご家族のみなさん、相談してください!」

掲載日:2023年11月30日
投稿者:医療法人誠心会 神奈川病院

 依存症の治療はご本人意思次第…ではありますが、それができずに対応に困っているご家族(相談者)に対して、当院ではご家族(相談者)との面談を精神保健福祉士が行っております。私たちがお会いする時のご家族(相談者)は、「お酒をやめさせたい」「病院に受診させたい」という思いで孤軍奮闘し、心身ともに疲労困憊の状態です。いろんな感情が抱えきれずに溢れていらっしゃいます。

 そんなご相談に対して私たちは、「依存症のご本人を何とかしよう」とはせず、「まずこのご家族(相談者)をサポートしよう」と考えます。“人に相談をする”ということができる人は、状況を変える力を持っている人です。簡単なようで、なかなかできることではありません。そんな力を持っている人が疲労困憊になっているのでは、状況を変えるのは至難の業です。また、何年もかかって少しずつ“依存症”の状態になるので、回復には同じくらいの時間がかかりますし、状況を好転させるのも短期決戦というわけにはいきません。これからの長期決戦に備えた準備が必要です。

 私たちはご家族(相談者)と一緒に次のような作業をおこなっていきます。
① 抱えきれない感情を一つずつゆっくり降ろす 
② 問題を別の角度から見てみる 
③ ほかの解決方法を探す 

② ③に取り組むときにはコツがあり、「何のためにお酒をやめて欲しいんだろう?」「私(相談者)はどうしたいんだろう」という視点を持っていただきます。そうすることで、“すぐできることとできないこと”、“先にやるべきことと後回しにしていいこと”が整理できて段取りがつき、少しだけ気持ちに余裕が生まれます。また、“お酒”というキーワードにとらわれずに物事を考えたり、コミュニケーションを取れるようになったりします。

 病気の病気の特徴や家族の対応方法をお伝えしたり、家族教室や自助グループなど活用できる社会資源も紹介しています。一人で悩んで抱えずに、ぜひお気軽にご相談ください。

医療法人誠心会 神奈川病院 氏

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