生き方を変える
掲載日:2023年03月30日
投稿者:横浜ダルク
先日、神奈川県立精神医療センターで勤務されている青山先生の講演を聞く機会がありました。未成年の児童を相手に長く寄り添われてこられた先生ならではの視点でのお話はとても感銘を受けました。我々の目指すところの「古い生き方」から「新しい生き方」へ。そのヒントがふんだんに盛り込まれていたように思います。
特に先生は、幼少期に機能不全家族や何らかの理由で抑圧された中で育つ影響についてもお話をされていました。安全で安心できる人と場所がいかに大切かを。その健全な環境に置かれることで自然と身に着くことができる「何か」があり、その部分がどうも私には欠如しているのではないかと思っています。その「何か」は可視化できない分、何が足りてないのかさっぱりわかりません。そしてそこを確実に満たしてくれるものが薬物だったのかもしれません。
しかし次第に自己中心的で怠惰な考えに支配され、結果孤独になっていく悲しい道のりが待ち構えていたのでした。
「堅実で正直に生きて損するより、ずる賢く騙して得する生き方の方がいい。1万円を手に入れるのに時給千円を馬鹿みたいに10時間労働するより誰かの財布からバレないよう盗めばいい。一瞬ですみます。」
他人の痛みを感じる器官がそもそも麻痺気味になってますから、見える部分で得する生き方に何の問題意識も感じないのです。
「新しい生き方」の基本は、見えない部分の力を中心に生きていくことだと教えられます。過去に何があってその見えない「何か」が欠けたのかは人それぞれなのでしょうが、その謎めいた「何か」は確実に存在し、我々にはなかった新しい力となり、健康的な生き方に導いてくれます。
人が道具となり、高慢さは謙虚さに、怒りが感謝に変わっていきました。
薬物を使わないことが全ての目的でしたが、それは新しい生き方の中のほんの一部にすぎなかったのです。
最後に、青山先生のような医師が近くにいて下さり、心強く思いました。
気づきを与えてくれる全ての出会いに感謝です。 依存症のセナ