依存症コラム 依存症について知ろう「回復の広場」

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セクシャルマイノリティと依存症

掲載日:2024年05月14日
投稿者:神奈川県立精神医療センター

神奈川県立精神医療センター  西村 康平

このコラムに目を向けてくださり、ありがとうございます。私は、セクシュアルマイノリティ、依存症について、1人でも多くの方に関心をもっていただくことを切に願っています。

セクシュアルマイノリティと依存症には、いくつか関連性があります。

1つは、依存症に至る患者さんは、幼少期から虐待や虐めを含めた逆境体験、本音を言いにくい生育環境や雰囲気の中で生活してきた方が多いと考えられています。また、セクシュアルマイノリティであることで、「性」に関わる虐待や虐めの経験、自分自身の大事なアイデンティティである「性」についてカミングアウトし、不利益を被る可能性があるため本音を言わないといった経験が多いことが考えられます。

もう1つは、「セクシュアルマイノリティ」と「依存症」の両者には、しばしばメディアや政治で議論の対象となることでもお分かりいただけるように、それぞれにスティグマが存在します。個人的な範囲にとどまらず、社会的にも差別や偏見が存在し、スティグマによって孤立が強まり、さらにご本人たちは生きづらくなるといえます。

実際、海外の研究でもセクシュアルマイノリティであることは依存症(物質使用障害)のリスクになることが報告されています。

そこで、神奈川県立精神医療センターでは2023年4月より、「セクシュアルマイノリティである方の依存症専門外来(レインボー外来)」を開設し、ご本人の価値観を尊重した支援を継続しています。2024年2月には、セクシュアルマイノリティと依存症をテーマとして、1人でも多くの方に知っていただくことを目的とした当院主催の依存症シンポジウムを開催いたしました。そこでも話題にのぼっていましたが、「性」や「価値観」等について、他者が決めつけてはいけないこと、決めつけるといった行動により、相手は傷つき、さらに孤立するという体験をする可能性があることを改めて痛感しました。

今後も、当院としては患者さんに対して何か決めつけることをせず、価値観を尊重した支援や医療を提供していきます。

神奈川県立精神医療センター

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