依存症コラム 依存症について知ろう「回復の広場」

ネット/ゲーム

ギャンブル等依存症やゲーム障害などの行動依存について3/4

掲載日:2020年07月09日
投稿者:横浜市こころの健康相談センター

今回はゲーム障害の特徴、専門医療機関での行動依存の治療、回復のプロセスについてお話しします。

ゲーム障害の一般的特徴
ゲームは、大人も子どもも楽しめる、熱中しやすい遊びです。しかし、はまり過ぎると様々な問題が出現し、病的な状態(=ゲーム障害)を引き起こします。WHOの診断基準(ICD-11)では、ゲーム障害の臨床的特徴として、
○ゲームの(時間や課金などの)コントロールができない。
○他の生活上の関心事や日常の活動よりゲームを選ぶほどゲームを優先する。
○問題が起きているがゲームを続ける。またはより多くゲームをする。
○ゲームのためにひどく悩んでいる。または、学業上及び職業上の問題が生じており、ご本人や家族に影響が出ている。

と記述しています。その結果として
○体力低下、運動不足、骨密度低下などの身体的問題
○睡眠障害、ひきこもり、意欲低下などの精神的問題
○遅刻、欠席、成績低下などの学業上の問題
○浪費や借金などの経済的問題
○家庭内の暴言・暴力などの家族問題
などの様々な問題を引き起こすことが報告されています。

専門医療機関での治療
アルコール依存症などの物質依存の経験を踏まえ、行動依存では様々な治療法が試みられてきました。認知行動療法は、本人の偏った考えや行動を、より望ましい考えや行動に変えていく治療法ですが、物質依存だけではなく、ギャンブル等依存症やゲーム障害といった行動依存に対する治療でも効果が認められています。認知行動療法には、様々なテーマが盛り込まれていますが、例を挙げると、
○ギャンブル等やゲームの過去の行動パターンや背景を明らかにする。
○行動を起こしそうなリスクの高い環境をみつけ、それをうまく回避する。
○代わりとなる趣味や活動を見つける。
などがあります。認知行動療法は、専門医療機関以外に、横浜市こころの健康相談センターでも体験することができます。

回復のプロセス
依存症の治療を終了しても、また同じ行動を何度も繰り返してしまうことがあり、これをスリップといいます。依存症からの回復の過程では、スリップを経験することはよくあります。しかし、一旦スリップすると、本人は罪悪感を感じて自分を責めてしまうことがあります。ここで、あまり悲観せず、回復によくあることだと考え、次にどう対処したらよいかを考える機会にするとよいでしょう。家族も、本人を責める気持ちが芽生えると思いますが、回復には時間がかかると理解し、スリップをどう次の行動に生かすか、本人と一緒に考えていきましょう。

次回は当事者への関わり方の工夫や地域の社会資源についてお話しします。
(独立行政法人国立病院機構 久里浜医療センター 精神科医長/精神保健指定医 松﨑 尊信)

【リーフレット】ギャンブル等依存症・ゲーム障害

横浜市こころの健康相談センター

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