依存症コラム 依存症について知ろう「回復の広場」

依存症全般

依存症と世代間連鎖

掲載日:2026年01月19日
投稿者:相模原ダルク

相模原ダルク施設長 酒井 勇輔

依存症という脳の病気には、いくつかの特徴があります。コントロールして使用できないというコントロール障害、やめ続けることができない強い欲求、使用量が増えていく耐性、徐々に悪化していく進行性、自己中心的な性格へと変化、他の依存にうつってしまう交差依存、家族をはじめ周囲の人を巻き込むこと。今回はそんな中でも世代間連鎖について取り上げようと思います。

依存症は世代間で連鎖するという結果がわかっています。例えば、両親のどちらかが依存症である家族で育った子供が依存症になるリスクは、そうでない子供に比べ4倍から8倍高いとのことです。依存症は、親から子へ、子から孫へ、孫から次の世代へ引き継がれていくのです。

理由は2つ考えられます。1つ目は先天的なもので、依存症になりやすい脳の特性の遺伝です。がんになりやすい家系があるように、依存症になりやすい家系があると考えるとわかりやすいでしょう。2つ目は後天的なもので、依存症の親がいる家族で育ったことで受けた影響によるものです。子供は親が依存症であることを隠します。家族のことは誰にも話せません。また、親に期待することができません。一番身近な大人に頼ることができないのです。そして、自分の感情を麻痺させます。自分が何を感じているのかわからなくなっていくのです。この家族のルールは3つです。話すな・信頼するな・感じるな。このような過去の経験とそれによって身についた生き方は、その後の人生を生きるのを困難にさせます。だからそれを楽にしてくれるものがあったなら、それを繰り返し使ってしまうのも仕方のないことです。例え子供が依存症にならなかったとしても、生きる困難さは変わりません。そしてその生きる困難さは孫に受け継がれ、同じ仕組みで孫が依存症になるのです。

「子供の頃、依存症の父のせいで嫌な思いをたくさんした…自分は絶対にそうなるものか…。だが大人になり自分も依存症になってしまい父と同じことをしている。そして自分はなんてダメな人間なんだろうと悲しみにくれる…」これが世界で起きている現実です。さて、今目の前に一人の依存症の方がいるとしましょう。その方の背景には、何世代にもわたって引き継いできた生きる困難さがあるのです。依存症の治療とは、この生きる困難さに取り組むこと。そして、次の世代への連鎖をとめることなのです。

相模原ダルク

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