「治療プログラムをグループで行うのはなぜ?」
掲載日:2024年02月07日
投稿者:大石クリニック
大石クリニックは横浜市中区にある依存症治療を専門とする精神科クリニックです。平成3年に開院してからさまざまな患者さんを診てきました。当初はアルコールや薬物の依存症患者さんばかりでしたが、現在では他にもギャンブル、買い物、万引き、性的な問題行動、インターネット、DV、ストーカーなど相談内容が多岐にわたります。年間2000人以上新しい患者さんが受診しており、依存症に関する相談は年々増えています。
患者さんのほとんどは普段仕事や学校に通っているため、当院受診は週1~月1回の頻度です。その中で、診察とは別に集団精神療法と呼ばれるグループの治療プログラムに参加する場合があります。これは同じ問題行動で悩んでいる患者さん同士、自分の考えや気持ちについてオープンに話し共有する場です。初診で来たばかりの人がいれば、2年以上通院し問題行動が止まっている人もいます。友達にも家族にも話せないようなことが素直に話せるため、参加した患者さんからは「自分だけじゃないんだとわかって安心した」「自分もあの人みたいに回復したいから頑張ろうと思った」「今まさに問題が起きている人の話を聞いて、自分も同じだと反省した」「気が引き締まった」といった感想を聞きます。お互いの言葉が励みやモチベーションとなるだけでなく、反省の気持ちや抑止力にもなるのです。
また、テキストベースの治療プログラムもあります。認知行動療法という心理学の考え方に基づいて、問題行動の再発防止のために具体的な対処策を検討します。その上で、自分がどんな人生を送りたいのかイメージし、日々取り組めることや気をつけるべきことを実践していきます。一人では漠然としてしまう難しい問題でも、スタッフとのやりとりや他の患者さんの話を参考にすることで現実的に考えることができるようになります。
当院ではこういった治療プログラムを相談内容ごとに分けて実施していますので、より共感しやすいと思います。夜診帯など多い日には参加者が20名を超えることもあり、多くの患者さんのサポートになっています。一人の力では限界があります。いろんな人と支え合いながら回復を目指しましょう。